インタビュー

ワンちゃんの歯磨きのプロが口腔ケアのポイントをわかりやすく教えます!

飼い主の皆さん、上手に愛犬の歯磨き出来ていますか?口腔ケアは、ワンちゃんの健康を維持する上で非常に重要!「歯磨きで気をつけるべきポイント」から、「海外と日本の歯科医療の違い」まで、詳しく聞いてきました!「歯磨きとは愛犬との〇〇の場である。」愛犬の口腔ケアに悩む飼い主さん、必見の記事です。

ワンちゃんの歯磨きのプロが口腔ケアのポイントをわかりやすく教えます!

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皆さま、こんにちは。WaterO CEOの鈴木祐太郎です。

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今回は、WaterO Mediaの第五回目のインタビュー企画です。

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第五回目は、ワンちゃん専門の歯科衛生士、実雲茜さんにオンラインインタビューさせて頂きました。

皆さん、上手にワンちゃんの歯磨き出来ていますか?口腔ケアは、実はワンちゃんの健康を維持する上でとっても大切なんです!愛する我が子のお口周りをキレイに保って、健康で幸せな生活を送っちゃいましょう!

それでは、インタビュースタートです!

ワンちゃんの歯科衛生士とは

いつも明るくて元気な実雲さん

実雲さん、今日はお時間いただいてありがとうございます!簡単に自己紹介とお仕事内容を教えてください。

はい!ワンちゃん専門の歯科衛生士をしています、実雲茜です。私はもともと人の歯科衛生士だったのですが、当時勤めていた歯科医院の担当の患者さまに「うち犬を飼っているんだけど、お口が臭くて、なんとかならない?」と相談を受けた事をキッカケに、ワンちゃんの口腔ケアについて興味を持ちました。調べてみると、3歳以上のワンちゃんの約8割が歯周病である、という衝撃の事実を知りました。そこで、歯科衛生士というキャリアを活かして、ワンちゃんにも歯磨きが大切ということを伝えられないかと思い、約2年間、動物の歯科学や行動学を勉強しました。そして、去年ワンちゃん専門の歯科衛生士として活動を始め、今は出張型の口腔ケアや歯磨きレッスン、歯磨きのイベントやセミナーなどを全国各地で開催しています。

その最初に声をかけて下さった飼い主さんは、本当にありがたかったですね!

とても感謝しています!実はすぐに調べた訳ではなくて、ずっと引っかかっていて。これから歯科衛生士としてキャリアアップを目指すか、違うサービス業を極めようかと悩んでいた時期に、「あ!そういえば犬の口腔ケア!」と思って急に降ってきて。それがスタートでしたね。

もともとワンちゃんは好きだったんですか?

すごく大好きで、よく近所のワンちゃんを可愛がっていました。実家が飼えない家だったので、大人になったら飼いたいと思っていて、このお仕事をキッカケに、やっぱりワンちゃんの事を分かっていないとお仕事もできないなと思っていたんですが、素敵なご縁でらぶちゃん(実雲さんの愛犬、パピヨン×チワワのMIX)にも出会えることができて、本当に感謝していますね。

なるほど〜!ワンちゃんの歯磨きとヒトの歯磨きってどこが一番違うんですか?

まるっきり違うんですよね。例えば、美容師さんがワンちゃんのトリミングが出来ないのと一緒で、人の歯科衛生士だからってワンちゃんの歯磨きが出来るかと言われると、出来ないんですね。知識はあるけど、「扱い」の部分が出来ない。ワンちゃんは喋れないですし、基本的に嫌がるし。こうやって当てれば良いとは分かっているけれど、それがうまく出来ないので、歯科学というよりかは行動学をたくさん学びました。

ワンちゃんの行動学ですか?

そうですね。行動学。ワンちゃんの扱い方。トレーナーさんやトリマーさんの所に行って、どのように接しているのかを勉強させていただいたり、動物病院で働かせていただいて、保定(ほてい)という業務をやらせてもらったりしてました。

ちゃんとした専門のトレーニングが必要ということなんですね。

ワンちゃんのお口の病気の原因

約8割のワンちゃんが歯周病というお話があったと思うんですが、なんでワンちゃんってそもそもそういう病気になってしまうんですか?

色々な理由があると思いますが、まず1つが食生活の変化だと思います。昔は獲物の内蔵や骨などを食べていて、顎も丈夫だし、汚れもつきにくかっ たんですよね。でも今はドライフードが主流になって、歯に汚れが溜まりやすいものを食べています。また、人と同じようなものを食べるようになったので、同じように歯周病にもなりやすくなったのではないかと思います。あとは、生活環境の変化。今飼育されているワンちゃんは、昔のワンちゃんと比べると運動量や水分摂取量が減ってきているといわれています。例えば、普段あまりお水を飲まない人でも、ジムに行ったらたくさんお水を飲むじゃないですか?でも、今のワンちゃんってあまり散歩をされてない子も増えてきて、全然運動が十分じゃないので、お水もあまり飲まない。お水を飲む量が減るとどうなるか?というと、お口の中が潤っていない。細菌は乾燥した場所が大好きなので、どうしても口内環境が悪くなりやすくなるんです。

なるほど。

もう1つ違う理由でいうと、ワンちゃんの口腔ケアの必要性や効果的な予防ケアが飼い主さんに浸透していないから、というのもあります。人の方では歯医者さんがありますが、動物の方では歯医者さんというのがほとんどないので、口腔ケアの重要性が行き渡っていない、歯磨きをする習慣がなかなか定着しない、という事も大きな問題の一つではないかと思います。

飼い主さんにレクチャーする実雲さん

なるほど!歯磨きの重要性を理解する上で、飼い主さんが知っておいた方が良い情報はありますか?

口腔ケアをする事によって、病気の進行を抑制・改善する事ができるというデータは多くあります。私は日頃から「健康はお口から」「歯磨き上手は長生き上手」と伝えています。お口の中が汚い状態だと、そのまま悪いものがどんどん身体の中に入っていってしまいますが、お口のケアをしっかりしていれば、様々な病気のリスクを食い止めることができるんです。

なるほど!

動物の先進国ではその事がしっかり理解されているので、ワンちゃんに口腔ケアというのは当たり前にされているんですよね。海外ではエビデンス、論文がたくさんあります。しかし、残念ながら日本の歯科医療は、人の方でも遅れているといわれていて、動物歯科はそれ以上に遅れているといわれているんです。

へ〜〜っ!そうなんですか!?

はい。なので、日本では歯石取りをすれば良い、と思っている飼い主さんがすごく多いんですが、そもそも歯石がつかないようにする事が大事で、そこの意識の底上げが必要だとすごく感じますね。

日本と海外の歯科医療の違い

歯磨きを頑張るチワワちゃん

なんで日本は、歯科医療が遅れてしまうんですかね?海外に比べて。

人の方でも何年か前までは歯に異常が起こったらすぐ抜歯だったけど、今はなるべく歯を残す治療や予防処置が主になりましたよね。ほとんどのものが人間の世界で確立してから動物の方へという流れだから、そこでもまた大きな時間の差が生まれちゃいますよね…。確かに、なんで日本が遅れているのか…?これは私自身もすごく気になりますね。

例えば、ヨーロッパの方なんかだと考え方がすごく進んでいて。ペットショップでワンちゃんを購入する事が禁止されている所もあるくらいじゃないですか。ブリーダーさんから直接とか、保護犬を、とか。倫理的にも進んでいますし、医療的にも海外の方が進んでいる、という事なんですかね。

今ちょっと思い出したのですが、海外って、治療費がとっても高いんですよね。でも日本は保険制度があるから治療は保険で賄える。でも、予防って自費なんですよね。だから、どこかで「症状が起こってから行けばいいや」というスタンスになっている。例えば歯科予防先進国のスウェーデンなんかは歯科の検診率が9割以上なのに対して、日本は1割未満なんですよ。

なるほど。そういう背景もある訳ですね。

日本は予防にあまり積極的じゃないのかもしれませんね。

口腔ケアと予防

実雲さんがやられているお仕事としては、既に歯周病などになってしまっているワンちゃんも対象になるんですか?それとも予防を中心としたサービスになるんですか?

歯磨きの仕方を講義しているワンシーン

どんなワンちゃんでも対象です。私は獣医さんではないので歯周病の診断などはできないのですが、口腔ケアについてお悩みのある飼い主さまに歯磨きについてのご指導や口内環境を良くするための仕上げ磨きを提供しています。例えば歯周病の可能性があるワンちゃんが来た場合には、動物病院での 受診をすすめます。私がお手伝いできることは予防ケアなので、飼い主さんが愛犬に歯磨きができるようにサポートすることがお仕事です。

なるほどですね!質問したい事がたくさん湧いてきます。普段から愛犬に歯磨きをちゃんとやっている飼い主さんって、何割くらいいるんですかね?

そもそも歯を見た事がありません」という方から「毎日歯磨きやっているんですが、やり方があっているのか分かりません」という飼い主さままでいるのですが、私の所に来てくださる飼い主さまは、後者が多いです。前にワンちゃんを飼われている500の世帯を対象にアンケートを取ったことがあ るのですが、一番多かったのが「トリミングサロンさんで歯磨きしてもらっ ています」という回答だったんですね。つまり、家では歯磨きしていない飼い主さまが多かったんです。次に多かったのが歯磨きガムでケアしていますという回答でした。なので、歯磨きをちゃんとされている飼い主さまの割合 は1、2割程度だと思います。

そうですよね。市販のオーラルケアグッズあるじゃないですか。あれは専門家から見ると、どのように映るのですか?

そうですね〜。すごく手軽で簡単ですよね。でも、本当にそれだけで歯がキレイになるのなら、人間でも絶対に流行っているはずですよね。例えば人の方でも歯磨きガムって売っているじゃないですか?でも主流じゃない。理由は「歯ブラシの方が効果がある」とわかっているからだと思うんですよね。

ワンちゃんの口腔ケアグッズってちょっと誇大広告気味で 「これさえあれば歯垢も歯石もつきません」みたいに書いてあるものが多いけど、私はそんなことはないと思っています。大変だけど、やっぱり歯ブラシでのケアが最も効果的だから、歯ブラシにプラスして他の口腔ケアグッズを使うのなら良いけど、歯ブラシ以外の口腔ケアグッズのみでOKとは思って欲しくないですね。

なるほどですね。

お家でできる口腔ケアでは歯ブラシに勝る口腔ケアグッズはないと思ってます。でも、そんなことはわかってるけど歯ブラシでのケアが出来ないとお悩 みのある飼い主さまが本当に多いんですよね。そこで犬の歯科衛生士の出番です!(笑)

歯磨きは1対1の会話の場

これまで担当してきた子の中で、印象的だった子とかいますか?

いますね!3頭のチワワちゃんを飼われているご家庭だったのですが、1番先輩のチワワちゃんが最近になって唸ったり、噛み付いたりしだすようになってしまって歯磨きも全然やらせてくれないと。これまでそんな事はなかったのに急にそうなってしまったんです、と飼い主さまが悩まれていたん ですね。そこで色々伺ってみると3頭目の子は最近飼いだしたみたいで、まだ赤ちゃんだからすごく手のかかる子でどうしてもその子が中心になってしまっているとのこと。もしかしたら寂しさからそういう事をするようになっているのではないか、という風に感じたので、私は「あきらめずに歯磨きを続けて欲しいです。歯磨きはワンちゃんと飼い主さまが1対1でコミュニケー ションをとれる大切な時間だから、この時にたくさん会話をしながら歯磨きをして欲しいです。」と伝えたんですね。怒りながらやるのではなくて、「いつもありがとう」とか「大好きだよ」という想いを伝えながら、歯磨きをやって欲しいと。それで、磨き方やその他のアプローチの方法をお伝えしました。そしたら3ヶ月後にご連絡が来まして。なんと、そのチワワちゃん、歯磨きっていう言葉をいうだけで、歯ブラシを持ってくるようになりました〜!と。

すごすぎますね。なぜそうなれたのでしょうか?

歯磨きの時に「いつも下の子の面倒を見てくれてありがとうね。」とかすごく沢山声掛けをしてあげたみたいなんですね。歯磨きがちゃんと出来なくても、とりあえず歯ブラシを置いて言葉を掛ける。会話重視で3ヶ月頑張ってきたという事でした。気持ちが伝わったのか、以前よりも歯磨きが出来るようになったし、粗相もなくなった。こんなに歯磨きをする時のコミュニケーションが、ワンちゃんを変えるなんて感動しました、というお声を頂いたんですよね。

これ、インタビュー第3段で取り上げさせて頂いたドッグトレーナーの望月さんも同じような事言っていましたね!しつけをする時も、スキルもそうだけど、気持ちが大事なんだと。気持ちが伝わると、しつけも出来る。言葉を掛けてあげる、と。

本当にその通りだと思います。植物もそうですよね。枯れそうな植物に、キレイだよって言葉を掛けてあげると蘇ったりとか。私がよく言うのは、「歯磨きは最高のコミュニケーションなんですよ」と言っているんですね。ただのしつけでもないし、単なるケアでもなくて。数分間のコミュニケーションであり、幸せの時間。だからこそ、毎回楽しい時間にしていかなければいけないんですよね。

ワンちゃんにとって嫌な時間や、我慢の時間ではなくて。

そうです。歯磨きは毎日するものだから、ワンちゃんにとっても飼い主さまにとっても楽しい時間じゃないとだめなんです。

そういう風に捉えて飼い主さんが歯磨きをすると、きっとワンちゃんへの伝わり方も変わってきますね。

実雲さん以外にも、ワンちゃんの専門の歯科衛生士っていらっしゃるんですか?

名乗り方は違いますが、います。今一緒に頑張っている仲間もいますし、最近は私も同じようにお仕事したいですと言ってくださる方も増えました。

実雲さんからメッセージ

愛犬のらぶちゃんと

これから実雲さんみたいに、ワンちゃんの歯科衛生士として頑張っていこうとされている方向けに何かメッセージありますか?

そうですね〜。私の理念は「ワンちゃんの歯周病率を0にして、生活の質を向上させること」「ワンちゃんの口腔ケアにお悩みの飼い主さまを減らすこと」、そして「口腔ケアを通して、ワンちゃんと飼い主さまとそのご家族みんなが幸せになるための社会づくり」なんですね。それと、Puente Felizという名前はスペイン語で「幸せの架け橋」という意味なのですが、人とワンちゃんが幸せになるための架け橋になりたいという思いでこの名前をつけました。このお仕事は大変だけど、とてもやりがいを感じられるし、飼い主さまの喜ぶ姿も見れるので、とても楽しいお仕事だと思います!

大変な所でいうとどうでしょう?

ワンちゃんは喋れないですし、基本歯磨きは好きじゃないので、扱い方については今も勉強してます。やっぱり気持ちに寄り添う、という所はワンちゃん1頭1頭違うからこそ難しさは感じますね。あとは、もっとこのお仕事を知ってもらいたいですね。認知度の所で苦労してる部分はあります。

実雲さんの1年後や3年後の理想の状態はなんですか?

私の理念が叶っていることですね。歯磨きの重要性をみんなが理解している状態。皆さん、当たり前のように「お手」とかは覚えさせると思うんですよね。それと同じくらい「歯磨き」を当たり前にしたい。正しい知識と正しい方法を、どの飼い主さんも理解している状態にしたいです。あとは、一緒に活動する仲間を増やしたいです。

素晴らしいビジョンですね。そんな世界になる事を僕も願っています。一緒に協力して行けたら良いですね!
最後に、飼い主さんにお伝えしたいメッセージはありますか?

やっぱりお口の悩みって、尽きないと思うんですね。動物病院に行っても納得のいく回答をもらえないこともあって、一体どうしたらいいの?と悩む飼い主さまがたくさんいらっしゃるのが事実。そんな時に、気軽に相談ができる私のような口腔ケアの指導者に頼ってもらえたら嬉しいです。

実雲さん、今日は本当にありがとうございました!口腔ケアでお困りの方は、直接実雲さんにメッセージ送っちゃって下さい! 

はい!今日は有難うございました!

ワンちゃんの歯科衛生士の実雲さんのインタビュー、お楽しみ頂けましたでしょうか? 実雲さんの明るくて優しい人柄が感じられるとても楽しいインタビューでした。

ぜひ、愛犬ちゃんとの歯磨きを「楽しいお話の場所」にしてあげて、ワンちゃんのQOLを上げちゃいましょう!

実雲さんへのお仕事のご依頼やお気軽なお悩み相談はインスタから直接受け付けています。1匹でも多くのワンちゃんがキレイなお口で過ごせたら、健康寿命も伸びそうですね。

私達WaterOのVISIONは「すべてのペットが健康に暮らせる社会を当たり前にする」です。1匹でも多くのワンちゃんの飼い主さんに、この記事を読んでもらえたら嬉しいです。

第6段のインタビューもお楽しみに!

ゲスト:実雲 茜

ワンちゃん専門の歯科衛生士、Puente Feliz代表。所有資格は、歯科衛生士、動物取扱責任者、愛犬飼育管理士、ペット看護師と多岐に渡る。当時勤めていた歯科医院での「うちの犬、お口が臭いんだけどなんとかならない?」という一言がキッカケで、犬の口腔ケアに興味を持ち、犬の行動学・歯科学を1から学び、独立。ワンちゃんの歯周病率を減らすため、口腔ケアの意識・関心を高め、誰もが正しい知識と方法で愛犬に歯磨きができるようにする事を目指している。

著者:鈴木祐太郎

株式会社WaterO CEO。1993年生まれ、静岡県御殿場市出身。共働きの両親の下、中学1年から猫2匹を実家で飼い始める。大学時代、最愛の猫に会いたいがあまりに、東京と静岡を行ったり来たりする生活を送る。慶應義塾大学経済学部卒業後、人と組織の可能性を最大化させる事に憧れを抱き、コーチングファームに就職。コーチング・コンサルティングの基礎を学ぶ。その後、ブライダル業界、飲食業界、化粧品業界、WEBマーケティング業界での業務を通し、幅広い人脈と知見を蓄積。「全てのペットが健康に暮らせる社会を当たり前にする」を目指し、株式会社WaterOを設立、代表に就任。現在クラウドファンディングにて、日本初の愛犬・愛猫専用酸素補給水WaterOを先行販売中。